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2.低エネルギー(近紫外域)逆光電子分光の場合

このように、真空紫外光を分光器で分析するには、大変面倒な装置を開発する必要があった。
これに対して、我々が開発した低エネルギー(近紫外域)逆光電子分光(LEIPS)の場合 [4]はどうか、というと、

(1)大気中で光検出ができる
(2)アルミ蒸着ミラーが使える
(3)石英ガラス(窓、レンズなど)が使える
(4)市販の分光器や2次元光検出器がある

というメリットがある。何といっても、凹面回折格子を使った専用の真空紫外分光器を設計・製作しなくても、市販の分光器にうまく光を導けば、測定ができそうである。このようなことから、図2のように、バンドパスフィルターとホトマルによる検出器を分光器に置き換えて、測定を試みた。

2.低エネルギー(近紫外域)逆光電子分光の場合

図2: 低エネルギー逆光電子分光法のセットアップ。(a) バンドパスフィルターとホトマルを使う、 (b) バンドパスフィルターを分光器に置き換える、(c) 光検出器にCCD検出器を使い、2次元検出する。

分光器には、分光計器M10-TPを使った。その後、Jobin-YvonのiHR320も試した。どちらもCzerny-Turner 型で、F#値がそれぞれ3、4.1である。逆光電子分光では、分解能は0.1 eVぐらいあれば十分なので、F#値は小さいほうが明るくてよい。一方で、大きな分光器のほうが迷光は少ない。我々が低エネルギー逆光電子分光法に普段使っている干渉型のバンドパスフィルターは、バンドパス領域外の光の除去率が極めて高い(>105)。分光器はそれほどよくないので、迷光対策は重要である。