千葉大学 大学院工学研究院 総合工学講座 物質科学コース

表面界面 量子スピン物性 研究室 (山田豊和ラボ)

研究テーマ
持続可能な情報社会を実現する未来のスピントロニクス物質研究


SDGs持続可能な未来を創るための「磁性物質」研究
山田ラボは、SDGs 持続可能社会を物質科学の力で実現します。未来の「情報」社会に必要な、自動運転車・人工知能・分子ロボット・スマートシティを実現する、超省エネ・超省資源デバイスを研究開発しています。スマホ等の全情報は全て二進数「1」と「0」に変換され、「磁石」のNS極の向きを使って記憶されています。このような磁気記憶デバイスが「スピントロニクス」です。
山田ラボは、未来の、超省エネ・省資源スピントロニクスを実現するため、以下のプロジェクトを実施しています。 プロジェクトA「有機スピントロニクス & 光分子ロボティクス :未来の世界最小デバイス」 プロジェクトB「量子 & 超伝導スピントロニクス :未来の量子社会を実現」 プロジェクトC「ニューロン型スピントロニクス: 未来の人工知能」
さらに、直接、地球温暖化やプラスチック問題を改善する「環境デバイス」や、1個の「生命分子」の実空間計測による創薬や生命誕生の解明にも挑戦しています。プロジェクトD「未来の地球を守るための研究:光触媒・生命・環境」

山田研の卒業生の進路
90%の学生さんが大学院進学し技術職で製造・計測・IT・半導体メーカーに就職、さらに博士後期課程ドクター(PhD)を取得し研究職で企業や教育機関で活躍しています!
【企業】 三菱重工、三菱電機、東芝、キオクシア、リコー、シャープ、村田製作所、セイコーエプソン、富士フィルム(富士ゼロックス)、コニカミノルタ、日本電産、NOK、島津製作所、イビデン、アズビル、キャノンアネルバ、東陽テクニカ、日本証券金融
【アカデミック】 国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS), 東京大学大学院、北海道大学大学院、奈良先端科学技術大学院大学、北陸先端大学院大学、総合研究大学院大学、千葉大学大学院

STM 、それは、最先端ナノロボット顕微鏡!
【Movie1】 STMロボット機構【Movie2】 STM光照射機構,
上記プロジェクトを実施するため、山田ラボでは、物質最小の1個の原子・分子が見えてしまう顕微鏡、STM、scanning tunneling microscopy:走査トンネル顕微鏡 を自作開発して研究しています。上図ムービーは、山田ラボで観察してきた「原子・分子・磁気(量子スピン)・サイエンスアート作品」です。現在、4台の超高真空・低温STM装置が稼働中です。STMは、右図のように、原子レベルで鋭い探針を使って、表面を非接触でなぞるように操作し、表面形状を原子レベルの高精度で計測します。STMは探針を使うので、基板表面の原子・分子を、つつくようにして動かせます。「原子・分子マニピュレーション」 と呼びます。究極の「ものづくり」と言われています。
STMの優れた点は、観察だけでなく、その場で「電子分光」を行える点です。各原子の「局所電子状態密度:local density of states」、つまり、デバイス開発で最も重要な「フェルミ準位近傍の電子スピンバンド構造」が直接観察できます。STS:走査トンネル電子分光 、です。
STM/STSの探針として「スピン偏極した磁性探針」を使うと、鉄に代表されるような「磁石」のMS極が、可視化できます。これを、「スピン偏極STM/STS (SP-STM)」と呼びます。原子1個の磁気モーメントベクトル(正確には、スピン偏極度ベクトル)が直接観察できるため、世界最高の空間分解能 (約 0.5 nm)を有する磁気イメージング手法です。山田豊和博士は、SP-STMの第一人者です(2016年、SP-STM国際会議主催)。
STM/STS. SP-STMだけでなく、光電子分光、磁気伝導、Kerr磁気計測、原子間力顕微鏡(AFM)、電界放射顕微鏡(FEM)、走査電子顕微鏡(SEM)、化学気相成長装置(CVD)、金属MBE成膜装置、分子昇華装置など、多くの最先端技術装置 を使っています。

磁石と情報
スマートフォンやハードディスクドライブ(HDD)に代表される「情報」制御機器は、世界中の人々に広く普及し、現代の人類に必要不可欠なアイテムです。下図のように、5G社会では全ての情報は二進数“1”と“0”に変換され、毎秒10億個もの情報が巨大データセンターのHDD内の1個1個の磁石のN-S極の向きで保存されます。現在、HDD内の磁石(磁区)の大きさは30 nm程度とコロナウィルスより小さいです。詳しくはこちらをクリック! 2020-2030年代、人口知能(AI)、自動運転自動車、スマートシティ等の発展により「情報」社会はますます発展します。世界の情報量は10年後には、現在の1000倍に増加します。そして、現在、未来を二つに分ける分岐点にあります。以下の図をご覧ください。


未来の情報社会
一つ目の未来
既存の材料・技術のままであれば単純に1000倍の電力・資源が必要です。現在のデータセンター消費電力量は、原子力発電所1基の発電量を上回ります。そのため、上図下段・未来@のように、情報社会発展は、地球温暖化に拍車をかけます。大量の水蒸気は多くの水害を生み、さらなる資源開発は未知のウィルスやパンデミックの原因となります。
二つ目の未来
新たな革新的ナノ材料による省資源・省エネ素子の開発が実現すれば、地球温暖化を抑えつつ情報社会の発展が実現できます。山田豊和ラボでは、上図下段・未来Aに示す革新的材料:金属ナノ磁石、有機分子磁石、原子層物質、炭素材料 (グラフェン, グラフェンナノリボン、カーボンナノチューブ等)、トポロジカル超電導、トポロジカル磁性体「融合」させる事で発現する、新たな表面科学、界面制御、原子分子構造、分子ロボット、磁性 (スピン偏極電子状態)、超電導ギャップ、トポロジカルスピン物性を研究し、省資源・省エネ素子の開発に挑戦しています。
学部生むけ授業
デバイス開発に必要な、表面界面構造・製膜・真空・STM/AFM・電子線回折・トポロジカル物質の基礎等は、山田の学部学生向け授業「表面物理科学」で学ぶことができます。

大学院生むけ授業
自動車・情報社会を支える、磁気デバイス(スピントロニクス)や、新たなトポロジカル物質・超伝導・ボゴリューホフ粒子等を用いたデバイス開発について、基礎から丁寧に学びたい方は、山田の大学院学生向け授業「磁性物質科学特論」で学ぶことができます。
共同研究
山田ラボは多くの研究者と力を合わせて研究を推進しています。
日本国内共同研究プロジェクト15件
海外国際共同研究プロジェクト3件

リンク
山田豊和博士は、以下の様々な外部リンクで評価されています。
ResearchMap.
Research Gate.
ORCID.
Publons (Web of Science).
Google Scholar.
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研究プロジェクト
以下の研究プロジェクトを実施し、希望あふれる未来を実現する、革新的物質開発に挑戦しています。一緒に研究してくれる仲間を募集中です。
プロジェクトA
「有機スピントロニクス & 光分子ロボティクス :未来の世界最小デバイス」
キーワード:SP-STM スピン偏極走査トンネル顕微鏡 Spin-Polarized STM
キーワード:磁性MOF 磁性金属有機分子フレームワーク Magnetic Metal-Organic-Framework
【A-1】 一次元前駆体と鉄原子による磁性MOFの作製
【A-2】MOFによる世界最高密度・情報書き込み磁気媒体の開発
【A-3】環状前駆体とコバルト原子による低次元分子磁石チェインの作製
【A-4】光による分子構造制御:分子ロボットスイッチを目指して
【A-5】MOFによるスピンメムリスタ二次元配列化と光・電界スイッチ制御の解明(スピンクロスオーバー分子)
【A-6】原子スピン磁気モーメントの角度分布の直接観察:角度分解SP-STMの開発
【A-7】有機分子/磁性金属ハイブリッド型の磁気抵抗センサー開発
【A-8】ハニカム原子層磁石のエピタキシャル成長とKerr/SP-STM磁気計測
【A-9】トポロジカル磁性体:スキルミオンのSP-STM磁気計測とマイクロ波変調

研究プロジェクトB
「量子 & 超伝導スピントロニクス:未来の量子社会を実現」
キーワード:量子コンピューター Quantum computer
キーワード:トポロジカル超伝導 Topological superconductor
キーワード:原子層物質 van der Waals materials
キーワード:NVダイヤモンド量子センサー Nitrogen-Vacancy 窒素空孔
キーワード:電荷密度波 CDW Charge Density Wave
【B-1】量子メモリ用の超伝導磁性体ハイブリッド型マヨラナ粒子発現材料の開発と円偏光照射研究
【B-2】磁性MOFによる分子性カゴメ格子フラットバンド創出
【B-3】グラフェン上の低次元ハニカム分子によるトポロジカルエッジ状態の創出と円偏光・磁場効果の検証
【B-4】金属超伝導上のグラフェン成長:超伝導電子対とディラック電子の共存
【B-5】トポロジカル絶縁体積層膜上の磁性MOFハニカム格子作製によるディラックバンドとフラットバンドの共存
【B-6】トポロジカル絶縁体積層膜上のハニカム原子層磁性膜のエピタキシャル成長とKerr/SPSTM磁気計測
【B-7】SiCグラフェン上のハニカム原子層磁性膜のエピタキシャル成長とKerr/SP-STM磁気計測
【B-8】ダイヤモンド表面上の有機分子によるNV量子センサー開発
【B-9】原子層超伝導表面のCDW磁場効果とキラル分子ラジカルスピン効果の検証

研究プロジェクトC
「ニューロン型スピントロニクス:未来の人工知能」
【C-1】金ナノ粒子と有機分子と一次元ナノカーボン材料によるニューラルネットワーク作製と四端子伝導計測
プロジェクトD
「未来の地球を守るための研究:光触媒・生命・環境」
【D-1】MOFへの二酸化炭素単分子吸着とUV照射分解反応の原子レベル直接観察〜二酸化炭素分解による地球温暖化抑制への挑戦〜
【D-2】単一高分子へのUV照射による分解反応の原子レベル直接観察〜プラスチック環境問題の原理解明への挑戦〜
【D-3】極低温・超高真空環境での水・アンモニア・メタン分子へのUV照射によるタンパク質分子作製〜宇宙での生命誕生解明への挑戦〜
【D-4】真空フリーズドライ法による単一生命分子の実空間観察〜原子レベル構造解析による創薬開発への挑戦〜

【1】マスコミ報道 (NHK, 読売新聞, 朝日新聞, 千葉日報, 他)
記者の皆様に、山田ラボの研究を分かりやすくご説明いただいております。ぜひご覧ください。
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NHK news プレスリリース「1個の鉄原子で情報記録に成功!〜世界最小・ナノ分子磁気メモリ〜」
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毎日新聞、朝日新聞、千葉日報、日本経済新聞 プレスリリース「ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール!」
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読売新聞、毎日新聞、千葉日報 プレスリリース「インクの分子で、世界最小・磁気センサーの開発に成功!」
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日本経済新聞, 千葉日報1面, 日刊工業新聞, 日経産業新聞, 産業新聞 プレスリリース「 室温でも超安定!「世界最薄」有機分子膜を実現〜磁石のパワーで分子膜を強力固定〜」
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日刊産業新聞, WEBリリース プレスリリース「一酸化炭素分子は金属表面上で動いている:銅の単結晶・超高真空・極低温条件による初検出」
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読売新聞、毎日新聞、千葉日報 プレスリリース「薄さは分子1個分!室温でも「超安定」な極薄有機分子膜‐磁気メモリの高密度化・省エネ化を促進」【特許取得】

【2】「目にも見えない超小型ナノ磁石」スマホ全情報を記憶!
5Gスマホや自動運転車など、世界規模で情報社会は発展しています。山田ラボでは、超省エネ・次世代磁気情報デバイスの開発を目指しています。現在、全世界のスマホ「情報」は二進数「1」と「0」に変換され大規模データセンターにあるハードディスクドライブ(HDD)内の無数の「ナノ磁石」で保存されています。「N-S」が「1」、「S-N」が「0」です。
【持続可能社会を目指して!】今後、2030年には現在の100万倍に情報量は増加します。現在の情報技術のままでは、現在の100万倍の磁石と、はるかに多くの電力が必要となります。現在、大規模データセンター1か所の消費電力は、原子力発電所1基分の電力に相当します。
そこで、既存の磁性金属の鉄やレアメタルに代わる「超小型で超薄い磁石」を開発するため、山田ラボでは様々な異次元物質融合による革新的次世代ハイブリッド磁石を研究開発中です。挑戦している組み合わせは、「有機分子‐磁性金属」, 「原子層物質‐磁性金属」, 「超伝導‐磁性金属」, 「炭素材料‐磁性金属」です。

関連文献:Nature Nanotechnology, 5, (2010) 792-797.
関連文献:Nature Nanotechnology, 6, (2011) 185-189.
関連文献:Nature Communications, 3, (2012) 938.
関連文献:Scientific Reports 8, 353 (2018).
関連文献:The Journal of Physical Chemistry Letters 11, 1753-1761 (2020).

【3】「STM」原子・分子が見える顕微鏡!
ウィルスよりも小さな超小型ナノ磁石を研究開発するため、山田ラボでは、1個の原子スピン磁気モーメントベクトルが観察できる「スピン偏極・走査トンネル顕微鏡(STM: scanning tunneling microscopy)」を使用しています。
STMは「物質最小:原子」が見える顕微鏡です。空間分解能は約0.001 nm (= 1 pm, ピコメートル 10-12 m)です。光学顕微鏡は「可視光」を使うため 300-800 nmしか見えません。走査電子顕微鏡でも通常100-1000 nmしか見えません。STMは、他の顕微鏡をはるかにしのぐ「究極の顕微鏡」です。開発者のBinnig博士とRohrer博士には、1986年ノーベル物理学賞が授与されました。STM開発による「世界初の原子像」が観察されてからわずか三年後の受賞でした。「原子は存在する。原子が見たい。」という人類の夢の一つがかなった瞬間でした。
左図に示すように、STMは、原子レベルにとがった探針を使って試料表面を「非接触」で、探針と試料に間(0.5-1.0 nm)に流れるトンネル電流を検出して走査し、形状をとらえる顕微鏡です。驚くことに、針を使うと原子・分子が見えます!
また、STM測定は、超高真空・極低温という宇宙空間と同じ環境で行っています。 さらに、STMのすごい点は、観察しながら「原子分解能で超高分解能(0.02 meV)電子分光ができる」点です。 特に、山田豊和博士は、このSTMを独自改造し、原子分解能で磁気イメージングが可能な「スピン偏極走査トンネル顕微鏡(SP-STM)」を自作開発してきた世界的第一人者です。さらに現在、光ファイバーをSTMに導入し「光励起STMによる分子化学反応や有機分子マシン薄膜チップの開発」にも挑戦しています。ぜひ、ご興味ある方は山田ラボプロジェクトにご参加ください!

STMの面白い点は「原子・分子が見える」「超高分解能・電子分光ができる」に加えて、「探針で原子・分子を動かせる」点です!
STM原子マニピュレーション
STM探針を使うと1個の原子をつつくようにして動かすことができます。atom manipulation といいます。これが、「究極の物づくり」です。右図はSTM探針をつかって、基板表面にのっかった1個のFe原子をつついて、もう1個のFe原子にくっつけて、人工的に新たな物質(鉄二量体といいます)を開発している動画です。
STM分子マニピュレーション
STM探針を使用すると、原子だけでなく「分子」も動かす事ができます。molecule manipualtion と呼びます。右図で、黒く見えている点が、1個のCO分子 (carbon monoxide)です。Cu(111)基板に対しCO分子は炭素C原子がCu原子と結合し、酸素O原子が上向きに直立しています。STM探針からみると、酸素O原子がしか見えません。CO分子位置でのトンネル伝導値は、金属Cu(111)基板より低いため、”見せかけ上”CO分子の高さは低く暗く見えています。STM金属タングステン探針を接近させると、タングステン原子と酸素O原子との間に引力が働きます。タングステン原子に引っ張られるようにして酸素O原子が引っ張られ、CO分子が探針を追うようにして動きます。右図はCO分子10個をつかって”ニコニコ”マークを描いた様子です。

関連文献:Physical Review Letters, 87 (2001) 246102: 1-4.
関連文献:Surface Science, 516 (2002) 179-190.
関連文献:Physical Review B, 67 (2003) 165403: 1-7.
関連文献:Surface Science, 600 (2006) 1048-1053.
関連文献:Phys. Rev. B 94, 195437 (2016).
関連文献:Analytical Chemistry 90, pp. 8954-8959 (2018).
関連文献:Nanotechnology 29, 495701 (2018).
関連文献:The Journal of Physical Chemistry C 124, 3621-3631 (2020).
関連文献:Physical Review B 103, 085423 (2021).


【4】「自主開発」STM装置 4台 稼働中!
山田ラボ研究を支える8種類の最先端顕微鏡と研究対象物質群

山田ラボでは、世界最先端STM装置を独自にCAD設計して自主開発しています。現在、4台のSTM装置が稼働中です。STM本体は、右下図のように手の平サイズです。 しかし、STMは空気中の分子・原子も見てしまいます。そのため、STMは1メートルを超える大きな真空チェンバー内にあります。さらに、室温では原子分子は基板表面上で熱拡散してしまいます。二次元膜であれば室温 (300 K = 27 oC)でも観察できますが、1個の分子・原子を観察するには"冷却"しなくてはなりません。
そこで、クライオスタット冷却器を設置し、液体窒素(77.5 K)と液体ヘリウム4He (4.2 K)を使用して、極低温でのSTM研究を実現しています。ドイツ・スペイン国際共同研究プロジェクトでは、さらに、3He液体ヘリウムを使って「超低温 25 mK」「究極の電子エネルビー分解能:0.025 meV」でSTM研究しています。「宇宙」空間と同じ「超高真空・極低温環境」を、山田ラボで作り出してSTM研究しています。
全8種類の最先端顕微鏡装置を駆使して研究プロジェクト推進中!
@走査トンネル顕微鏡 (STM):物質表面の原子・分子の実空間観察。
A走査トンネル分光 (STS):原子スケールでの局所電子状態密度計測。
Bスピン偏極STM/STS:原子スケールでの磁気情報(スピン偏極度)計測。
C光照射STM:単分子レベルでの光照射反応観察。
D原子間力顕微鏡 (AFM):ナノスケールでの物質表面観察。
E走査電子顕微鏡 (SEM):ナノからミリスケールでの物質表面観察。
F電界放射顕微鏡 (FEM):探針形状物質先端のナノ構造観察。
G光学磁気Kerr顕微鏡:マイクロスケールで磁区観察。

異なる物質群を異次元融合: 磁性金属有機分子原子層物質超伝導炭素材料 (CNT, GNR, HOPG)

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SEMとプローブ伝導計測付き製膜装置
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FEM装置
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Spemag
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大気AFM/STM (JEOL4200)
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Tiny-SEM
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探針化学エッチング装置
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磁気偏光顕微鏡
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昇華精製電気炉
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VSM磁気計測装置
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探針炎エッチング装置

【5】「STM電子分光」超高分解能 (サブmeV) 電子状態密度計測
STMは顕微鏡です。探針で試料表面を観察します。探針は試料表面に接していません。「非接触」です。探針と試料の間の距離は「わずか0.5-1.0 nm」です。圧電ピエゾ素子の技術を使って「1 pm精度」で探針位置を制御しています。
試料に電圧 (<3 V) を印加すると、探針は非接触にも関わらず「トンネル電流」が流れます!古典電磁気学では電流は流れません。しかし、量子力学では、離れていても波動関数の重なりで探針試料間に「存在確率密度」が存在するため、トンネル電流が流れます。通常1 pA -1 nA流れます。STM観察ができることは、アインシュタインの量子力学が実在することを意味します。
このSTMを使って、原子レベル空間分解能で世界最高エネルギー分解能 (サブmeV)で「電子分光」ができます。これを、走査トンネル分光法 (STS: scanning tunneling spectroscopy) と呼びます。トンネル微分伝導: dI/dV曲線を計測します。

右図にSTS原理図を示します。 探針を測定したい物質表面や原子や分子の上に移動し固定します (feedback offといいます)。試料に正電圧を印加した際、試料の非占有電子状態密度が計測できます。負電圧を印加した際、試料の占有電子状態密度が計測できます。STSは、試料のフェルミ準位近傍(±3 eV)の占有状態と非占有状態の両方を同時に計測できます。一方、光電子分光ではマクロな占有状態のみ、逆光電子分光ではマクロな非占有状態を計測します。STSはフェルミ準位近傍の電子状態計測の”究極”の電子分光法です。上図のように、二次元電子分光マップイング (dI/dV map) をつかって、原子レベルで、各位置の電子分光を計測できます。

関連文献:Physical Review B 103, 085423 (2021).
関連文献:The Journal of Physical Chemistry C 123, 18939-18950 (2019).
関連文献:Nanotechnology 24 (2013) 395704.

量子干渉波STM観察: 表面バンド分散
極低温の世界では、熱揺らぎは抑制されます。すると、電子の波の特性、「量子波」をSTM分光像で観察できます。上図に示します。アインシュタインがいった、量子力学の世界では、電子は粒だけでなく波の特性をもつことを証明しています!
STM電子分光マッピングを使って、量子干渉波の周期 λ [m]が分かります。逆数をとると、逆格子空間(フーリエ空間)の面内成分 k||が実験より得られます。この手法で「二次元表面電子バンド構造」が分かります。山田ラボでは、この「STM量子波分光」をつかって、貴金属や超電導表面の、有機分子磁石による、量子波とスピン磁気モーメントの相互作用を観察することで、未知の原子サイズ磁石のふるまいを、量子波から解き明かそうと挑戦しています。

【6】「スピン偏極STM電子分光」磁石が見える顕微鏡!
1990年代、STMで原子が見えたのだから、次は「原子のスピン磁気モーメントベクトル(正確には、スピン偏極度ベクトル)を見たい!」、という機運が高まり、欧米や日本で大型国家プロジェクトが立ち上がりました。当時の主流は、半導体GaAsに円偏光を照射し励起されるスピン偏極電子流を利用する手法でした。結果、全ての研究プロジェクトは失敗しました。
ところが、2000年「革命」が起きました!ドイツ・ハンブルグ大学のRoland Wiesendanger博士と Mattias Bode博士が、磁性金属薄膜を使った「スピン偏極STM探針」を使って、原子の磁気配列をとらえることに成功しました。右図に最初のスピン偏極STM:高さ変化計測による原子スピン検出のモデル図を示します。

「スピン偏極STM」の誕生です!画期的ポイントは、広く使用されていた非磁性で高融点物質のタングステンSTM探針を超高真空中でフラッシングすることで (探針先端のみ数秒2300 K加熱)、曲率半径約100-200 nmの平坦で清浄な先端表面にしてから磁性薄膜を蒸着し、探針先端に自発的「スピン偏極度ベクトル」を持たせることに成功した点です。下図に2020年までに発見されたスピン偏極探針の一覧を示します。

その後、2003年、山田豊和博士(当時PhD学生, 指導教授:オランダ・ナイメーヘン大学・Prof. Dr. Herman van Kempen先生と学習院大学・溝口正先生)と Wulf Wulfhekel教授(当時ドイツ・マックスプランク研究所Halle, J. Kirschner所長)が、Mn(001)超薄膜/Fe(001)系で「室温での」スピン偏極STM計測に初めて成功しました。スピン偏極STM分光曲線の計測動画を右に示します。

関連文献:日本真空学会誌 (Journal of the Vacuum Society of Japan), 60巻, No.5, pp. 159-164, 2017年.
関連文献:Applied Physics Letters 116, 262406 (2020).
関連文献:表面と真空 63 (No.9) pp.459-464 (2020).
関連文献:Nano Letters, 12, (2012) 5131-5136.
関連文献:Nature Nanotechnology, 6, (2011) 185-189.
関連文献:Nanotechnology, 18 (2007) 235702: 1-6.
関連文献:Physical Review Letters, 90 (2003) 056803: 1-4.
関連文献:Applied Physics Letters, 82 (2003) 1437-1439. (Cover image).

山田豊和博士は現在まで、スピン偏極STMの世界的第一人者として、2016年には、千葉大学にて 第6回スピン偏極STM国際会議を主催しました。 また当時ライバルであったWulfhekel先生とは2008-2010年ドイツ・カールスルーエ工科大学で一緒に研究することとなりました。人生には思わぬ良い出会いが多くあります。現在も国際共同研究プロジェクトを継続中です。
下図に「スピン偏極STMの原理図」、右上動画には「スピン偏極STM電子分光の原理図」を示します。どちらの手法でも「磁気像」が観測できますが、近年は、より定量的なスピン偏極度計測ができる「スピン偏極STM電子分光」が主流です。スピン偏極STMが誕生してから20年たちました。スピン偏極STM計測は、探針作製や最高精度ノイズ軽減環境が求められるため「世界屈指の困難な測定」です。現在までに世界20か所の研究機関で成功しており、千葉大・山田ラボもその一員です。 是非、山田ラボの仲間に加わっていただき、一緒に世界トップレベル研究推進に、ご参加ください!

関連文献:Appl. Phys. Lett. 105 (2014) pp.183109: 1-5.
関連文献:New Journal of Physics, 11, (2009) 113031.
関連文献:Review of Scientific Instruments 87, 033703 (2016).
関連文献:Applied Surface Science 542, 148642 (2021).
関連文献:Review of Scientific Instruments 90, 063701 (2019).

Mottスピン検出器による磁性探針スピン偏極度計測
いわゆる強磁性体(磁石)は、必ず「Fe、Co、Ni」を含みます。この最外殻が3d軌道である物質は10種あります: Sc, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn。不思議なことに、このうち、「Fe、Co、Ni」は強磁性(隣り合う原子磁気モーメントが平行)、「Cr., Mn」は反強磁性(隣り合う原子磁気モーメントが反平行)を持ちます。そして、「磁性を持つ」ことは、電子状態密度バンドでは、ちょうど、フェルミ準位近傍で、アップスピンとダウンスピンの電子状態密度バンドが、エネルギー軸に対してずれます。これを「スピン偏極」と呼びます。アップスピン電子状態密度から、ダウンスピン状態密度の差を和で割った値が「スピン偏極度」です。
磁石の電子スピン特性を知る、ということは、スピン偏極・電子状態密度バンドを計測することになります。スピン偏極・STM電子分光や、スピン偏極・光電子分光を使って計測できます。その際、重要なのが、試料スピン偏極度を「定量的」に計測することです。山田ラボでは、独自にコンパクト型Mott検出器を開発し、定量的・スピン偏極STM電子分光に必要不可欠な、磁性探針先端スピン偏極度計測を行ってきています(世界最高難度!!!)。
関連文献:New Journal of Physics, 11, (2009) 113031.
関連文献:Applied Surface Science 542, 148642 (2021).
関連文献:Review of Scientific Instruments 90, 063701 (2019).

【7】「光照射STM」単分子の光化学反応を見る!
光STM (light-illumination STM, LI-STM)の始まりは、2000年代、STMを使って有機分子からの「発光」を原子分解能でとらえることに、カリフォルニア大学バークレー校Wllson Ho博士が成功したことに始まります。光検出STMの誕生です。原理は、有機ディスプレイとして広く市販されている有機EL (electro luminessence)と同じです。その後、2010-2020年、筑波大・重川先生グループが、STM試料への光照射研究を重点的に実施され、「光照射STM」の礎ができました。
山田ラボでも「光照射STM」を独自開発しています。超高真空・極低温STM装置の試料近傍に「光ファイバー」を設置します。これにより「超高真空・極低温環境 (= 宇宙空間)」を保持したまま、光を試料に照射できます。光などの外部刺激により、分子構造が変化する有機分子があります (例、シス-トランス)。「分子ナノロボット、分子マシン」とも呼ばれます。 「分子マシン」は、生命・化学・物理の幅広い領域の発展に多大な影響を与えるとして、2016年ノーベル化学賞が発見者:Jean-Pierre Sauvage博士, J. Fraser Stoddart博士, Ben L. Feringa博士に授与されました。
分子マシンは、外部刺激(光・熱・電界等の外的エネルギー)により駆動し、分子構造が変化します。この機械的運動を使うことでロボットのように分子を駆動できます。これまで主に、分子ロボットは血管内での薬デリバリーを目指し、溶液中でマイクロスケール(10-6 m)の生命分子を中心に研究が進んできました。一方、溶液中では1個の分子の自由度が高すぎ、熱拡散で規則的制御は極めて困難でした。
山田ラボでは、大きさ1 ナノメートル (10-9 m = nm)の「有機分子ナノマシン」に注目します。有機分子ナノマシンを、真空基板表面上で規則配列させることで「分子ナノマシン薄膜チップ」を開発します。レアメタルフリーな新たな情報書き込み用デバイス開発に挑戦します。
さらに、山田ラボでは「超高真空・極低温」という宇宙空間と同じ環境を人工的に創り出せます。STM観察しながら、有機分子への光照射で、どのようにして「生命」の源となる有機化合物が誕生したのか、解き明かしていきます。
「光触媒」「光重合ポリマー」など、単分子レベルで「光化学反応」を直接STM観察することで、新たな光制御型・ナノ分子デバイスを開発します。

【8】山田豊和ラボ研究プロジェクト
プロジェクトA「有機スピントロニクス & 光分子ロボティクス:未来の世界最小デバイス」
キーワード: SP-STM スピン偏極-走査トンネル顕微鏡 Spin-Polarized STM
キーワード:磁性MOF 磁性金属有機分子フレームワーク Magnetic Metal-Organic-Framework

【A-1】一次元前駆体と鉄原子による磁性MOFの作製
二次元ハニカム格子には、表面空間対称性の崩れやトポロジカル効果により、ディラック電子が発現します。我々は、磁性原子、有機分子、金属表面触媒を使って、磁性原子スピンの二次元ハニカム格子の実現に挑戦します。
【A-2】MOFによる世界最高密度・情報書き込み磁気媒体の開発
全世界の情報は、データセンタの無数の「磁石」が記憶します。現在、1個の磁石の大きさは20-30 nm(ナノメートル:10億分の1メートル)です。世界最小2-3 nmまで小さくできるか、分子の力を使って挑戦します。
【A-3】環状前駆体とコバルト原子による低次元分子磁石チェインの作製
新たな分子磁石の開発に挑戦します。環状クラウンエーテル分子は臭素終端です。この分子が金属表面触媒で1次元ポリマー化することを発見しました。磁性原子と組みわせ、新たな1次元ポリマー磁石を開発します。

【A-4】光による分子構造制御:分子ロボットを目指して
有機分子を組みあわせることで、物質最小サイズでの「ナノカー」「ナノロボット」が実現します。光による分子構造変化を制御することで、分子ロボット実現に挑戦します。

【A-5】MOFによる量子スピン記憶用二次元配列化と光・電界スイッチ制御の解明(スピンクロスオーバー分子)
スピンクロスオーバー分子は、1個の分子内に1個の原子磁石を内包します。原子周りの分子対称性(結晶場)により「High spin」「Low spin」という二つの量子スピン状態を持ちます。新たな記憶素子の開発に挑戦します。

【A-6】原子スピン磁気モーメントの角度分布の直接観察:角度分解SP-STMの開発
鉄やコバルトなどの磁石は、この世で最も小さな原子になっても磁石です。1個の原子の磁石、正確には量子力学でならう「スピン角運動量ベクトル」をSP-STMで計測できます。ベクトルの角度分布を直接観察できる新たなSP-STM開発に挑戦します。

【A-7】有機分子/磁性金属ハイブリッド型の磁気抵抗センサー開発
GPSセンサー、情報記憶素子など、磁気抵抗センサーには金属や酸化物などの無機材料が使わせています。新たに有機分子を使った磁気抵抗センサーを、国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS)と共同開発に挑戦します。SP-STMを用いて、有機分子/磁性金属界面磁気構造の直接観察により、磁区構造と磁気抵抗の関係性を解明します。

【A-8】ハニカム原子層磁石のエピタキシャル成長とKerr/SP-STM磁気計測
原子層物質は、大気中でもペリペリっとはがせる、安定な二次元物質です。21世紀の新たな材料として注目されます。真空中での、エピタキシャル成長による原子層「磁石」開発に挑戦します。

【A-9】トポロジカル磁性体:スキルミオンのSP-STM磁気計測とマイクロ波変調
数百からなる原子がおりなす磁区「スキルミオン」は、トポロジカル効果で保護されるため不純物に強く21世紀の新たな情報材料として注目されています。マイクロ波変調によるスキルミオン制御に挑戦します。


磁石が支える未来の情報社会
全世界のスマートフォンやパソコン(PC)の情報データは、全て「1」と「0」の二進数に変換されます。1個の情報が 1 bit(ビット)です。8 bitが1B (bite: バイト)、1 Bで28 = 256個の情報を記述することができます。ひらがな、片仮名、アルファベット、全て1バイトで表記可能です。
全ての情報は、現在、GAFA (Google, Apple, Facebook, Amazon)等の大規模データセンターの、ハードディスクドライブ(HDD)内の無数のナノ磁石NS極で「記憶」されます。HDDは単価が1GBあたり0.05 ドルと、SSD等の半導体記憶素子 (1.4ドル/GB)と比較し圧倒的に安価です。
5Gでは、毎秒10億個(=109)以上の情報が伝送できます (1 G bps)。4Kテレビでは、毎秒1億個 (= 108 = 画素 4000 x 2000 x16枚/秒) の情報が伝送されます。そのため、世界で飛び交う日々の情報量は1016個にもなります。2030年には「星の数ほどの1021(ゼタ)個」に達すると予想されています。1021個の情報を記憶するには、現在の100万倍のHDDが必要です。さらに、大規模データセンター1か所の消費電力は原子力発電所1基の生産電力に匹敵します。つまり、現在のHDD技術のままでは「5G情報社会の発展は、地球温暖化をさらに加速させます」。
情報記憶に使用されている、「ハードディスクドライブ(HDD)」は、手のひらサイズ:直径約3.5 inch = 約8.9 cmです。 現在2TB(テラバイト) = 約1012個の情報が保存できます。あらゆるデバイスの大きさは、「ムーアの法則」に従い、この20年で10000倍以上小さくなりました。
「人類の欲求がある限り、微細化・ナノテク・ナノ材料は、永遠に不滅」です。
1個の磁石(=1ビット)の大きさは、どのくらいでしょうか。直径8.9cmディスク(円板)の面積を1013個で割れば、1個の磁石の面積は約25x25 nm2です。「nm」は「ナノメートル」です。「ナノ」は「10-9」です。COVID19コロナウィルスの大きさ (約 80 nm)よりも既に小さいです。現在はFePt等の金属合金磁石が使用されています。しかし、金属ではこれ以上の微細化は困難です。そこで山田ラボでは、このHDD内の磁石を「さらに体積1/2000の直径約2 nm厚さ0.4 nm (物質最小・究極の原子サイズ) まで小さく」するため、新たなハイブリッド磁石:「有機分子‐金属磁石」「原子層物質‐金属磁石」「超伝導‐金属磁石」「炭素材料‐金属磁石」を日々研究開発しています。
上図にHDD内での磁気情報「書き込み」を示します。無数のナノ磁石が並んでいます。そのわずか「20 nm」上を「磁気ヘッド」が超高速で動き回っています。この感覚は、ジェット飛行機が地面の上、数mmをすれすれで飛び続けていることに匹敵します。現在は、磁気ヘッドから1個1個の磁石に「磁界」を印加します。上図のように鉄などの磁石に銅線コイルを巻き「電流」を流すことで磁界がでます。皆さんがスマホやPCで画面をタッチして「情報を保存」することは「HDD内で磁気ヘッドが高速で動き1個1個の磁石NS極向きを並び替えている」ことを意味します。磁界を出すたびに電流を流すため、コイルが「発熱=電力消耗」します。そのため長時間使用するとPCはどんどん熱くなります。
山田ラボでは、世界に先駆けて「発熱しない“冷たいPC”」の実現を2010年より目指してきました。そのためには、磁気ヘッドに「磁界」を使うのでなく、新たに「電界」による磁気情報・書き込み手法を実現しなくてなりません。電磁気学では金属磁石に電界は侵入しません。しかし、我々の研究から、原子二原子層厚さまで薄くすれば、電界が印加でき、磁石の磁気特性を変化できることがわかってきました。「超省エネ・電界によるHDD」を実現し、持続可能社会の実現に貢献します。
HDD内の磁気情報「読み取り」方法を上図に示します。スマホやPCでファイルをクリックします。すると、HDD内では磁気ヘッドが高速で動き、指定個所の磁石NS極並びを読み出し、二進数「1」「0」に変換し、ディスプレイ上に「情報が表示」されます。この「読み取り」を行うのが磁気ヘッドに搭載されている「トンネル磁気抵抗(TMR: tunnel magneto registance)センサー」です。
TMRセンサーは【磁石層 / 絶縁層 / 磁石層】からなり、全体の抵抗値(R)を計測します。「TMRセンサー」は「スピン偏極STM」と同じです【磁石探針 / 真空絶縁層 / 磁石試料】。二つの磁石のNS向きが平行な時、電子スピンのトンネル遷移確率は高くなり (R = 小)、電球が光ります:情報「1」と判別。ところが、磁石の向きが反平行になると電子スピンのトンネル遷移確率は下がり (R = 大) 、電球が消えます:情報「0」と判別。つまり、磁石の向きで電流ONOFFスイッチ制御ができます。これがトンネル磁気抵抗効果です。「磁気抵抗効果」を発見されたPeter Gruenberg博士 Albert Fert博士には、2007年ノーベル物理学賞が授与されました。
HDD内TMRセンサーでは、二つの磁石の内、一方のNS向きは固定されています。これは「反強磁性膜」を「強磁性膜」に付けることで働く「交換バイアス効果」を使って、一方の磁石のNS極向きを固定(ピン)しています。実は「交換バイアス」の原理はいまだによくわかっていません。山田ラボでも15年にわたり原理解明を目指しています。TMRセンサーは、HDDナノ磁石からの「漏れ磁場」 を感じて「方位磁針」のようにクルクル回って情報を読み取っています
山田ラボは、世界に先駆けて「世界最小・単一有機分子・磁気抵抗センサー」の実証実験に成功しました。現在、さらに薄く小さくするため「有機分子磁石」「原子層磁石」を用いて研究開発を進めています。
また近年、磁気抵抗センサーは、HDD以外の幅広い分野で活躍しています。TMRセンサーは、いわば「現在の方位磁針」です。GPSセンサーとして、スマホ1台に最低3個 (x, y, z方向) 搭載され、自動運転車1台には20個以上搭載されています。TMRセンサーによる人工知能AI開発など、今後も大きな発展が期待できます。

発熱しない「冷たいPC」と「無充電」スマホ実現への挑戦
現在、情報書き込みは、HDD内ナノ磁石へ「磁界」印加してNS極の向きを変えて行われています。しかし、われわれの研究から、「薄さ 二原子層厚さ: 0.4 nm」であれば、金属Fe磁石であっても「電界」を使って、磁気相転移を起こせることがわかってきました。「磁気電気結合」です。「マルチフェロイクス」ともいいます。
現在、電界情報書き込みを実現するため、人工二次元磁気格子の作製に挑戦しています。薄さ0.4 nm 大きさ 2 nm の Feナノ磁石を規則配列させる必要があります。真空表面合成法を用いた、新たな二次元磁気原子層の研究開発を実施しています。 
関連文献:Nature Nanotechnology, 5, (2010) 792-797.
関連文献:表面科学, 32 (2011) 361-367.【Editor’s Choice】.

強磁性・反強磁性の原子層界面での磁気交換バイアスの解明:なぜ反強磁性は強磁性をピン(固定)する?
磁石は小さくなると「熱揺らぎ」により不安定になります。1個の原子の磁石NS極の向きは「磁気モーメントベクトル [A m2]」です。磁気モーメントベクトルを体積 V [m3]で割ったものが、「磁化ベクトル M (magnetization vector) [V/m]」です。磁石を炎の中に入れて加熱すると、原子の磁気モーメントの向きがばらばらになり、磁化がゼロになります。「消磁」といいます。磁化がゼロになる温度を、強磁性 Fe, Co, Ni では「キュリー温度: TC」、反強磁性 Mn, Crでは「ネール温度: TN」といいます。Fe:1044 K, Co:1388 K, Ni:631 K、Mn:978 K, Cr:312 K。ですから、磁気情報を消すもっとも良い方法は加熱する事です。磁石は原子までばらばらに破壊しても磁気情報は残ります。
温度だけでなく「磁石を小さく=体積を減少」しても、熱揺らぎにより磁化は不安定になります。磁石はどこまでちいさくできるのか?一つの指標となる式があります:Ku V > kB Tです。Ku:ナノ磁石の磁気異方性 [J/m3]、V:ナノ磁石の体積 [m3]、kB:ボルツマン定数、T:温度 [K]。
つまり、小さくしても磁石でいられる「強い磁石」を開発するには、Ku:磁気異方性の高い物質が必要です。現在使われているのは、コバルトCo系:Ku = 4.5 x 105 [J/m3]、鉄白金FePt系:Ku = 7 x 106 [J/m3]です。
原子レベルに薄くても、安定な磁石を作製する新たな方法として、「強磁性膜: ferromagnet (FM)」と「反強磁性膜: antiferromagnet (AFM)」を使う方法があります。ます、普通の鉄などのFM膜のM-Hループ(ヒステリシス曲線)を見てみましょう。上図に示します。外部から磁石の磁化 M [A/m] に磁界 H [A/m]を印加します。すると最初N極を向いていた +M は、逆向きに磁界 -H がかかると、保磁力 Hc を超えると磁化反転します(+M -> -M)。ところが、「不思議なことに」AFM膜に接したFM膜のM-Hループは、上図に示すように変化します。H = 0 において、+Mしか向かなくなります。これが「交換バイアス効果 (exchange bias)」です。磁気メモリー、磁気センサー、GPSに広く疲れわれています。しかし、なぜこんなことが生じるのか、原理は未だによくわかっていません。山田ラボでは15年以上にわたり原理解明に挑戦しています。
関連文献:表面と真空 63 (No.9) pp.459-464 (2020).
関連文献:Nano Letters, 12, (2012) 5131-5136.
関連文献:Appl. Phys. Lett. 105 (2014) pp.183109: 1-5.
関連文献:Nanotechnology, 18 (2007) 235702: 1-6.
関連文献:Physical Review Letters, 90 (2003) 056803: 1-4.

真空表面でのπ共役系分子への原子吸着による世界最強・単分子磁石の開発〜 世界最小・室温でも機能する単分子磁石の実現を目指して〜
メタルフリーな有機分子に磁性原子を挿入することで、有機分子磁石が合成できます。溶液中でも真空基板表面でも同じです。原理は、例えば、上図に示す「四葉のクローバー」形状の、メタルフリー・フタロシアニン分子であれば「2HPc + Fe -> FePc + H2 (gas)」の反応が生じます。分子中心にある水素原子二個が脱離します。
しかし、山田ラボの真空基板表面でのSTM研究から、低温であれば、水素脱離を伴わない「2HPc + Fe -> Fe-2HPc」反応により、新たな有機分子磁石「Fe-2HPc複合体」を開発できることが分かってきました。この手法を使えば、溶液中合成では不可能であった、全く新たな最強・単分子磁石が開発できるかもしれません。山田ラボは無限の可能性に挑戦します。
関連文献:表面と真空 63 (No.9) pp.465-469 (2020).
関連文献:Physical Review B 103, 085423 (2021).
関連文献:The Journal of Physical Chemistry C 124, 3621-3631 (2020).

有機分子格子テンプレートによる分子マシン規則配列薄膜の開発 〜分子マシンによる光アシスト電界制御磁気記憶素子開発〜
上図のように、光照射や電界印加により分子マシンは形状を変化します。この分子形状の変化を使えば、情報の書き込みが可能です。分子マシンの構造が二種類あれば 0 か 1。三種類以上であれば 0, 1, 2 …と、より多くの情報が書き込めます。真空金属表面を使って、単分子層レベルでの有機分子マシン薄膜チップの開発に挑戦しています!
関連文献:The Journal of Physical Chemistry C 123, 18939-18950 (2019).

プロジェクトB 「量子 & 超伝導スピントロニクス:未来の量子社会を実現」
キーワード:量子コンピューター
キーワード:NVダイヤモンド量子センサー Nitrogen-Vacancy 窒素空孔
キーワード:CDW Charge Density Wave 電荷密度波
【B-1】量子メモリ用の超伝導磁性体ハイブリッド型マヨラナ粒子発現材料の開発と円偏光照射研究
超伝導と磁性体のヘテロ構造を作ると、トポロジカル効果により、電子(粒子)とも正孔(反粒子)とも判別できない粒子が発現します。マヨラナ粒子です。量子コンピューター実現に必要不可欠です。原子層物質を使ってマヨラナ粒子制御に挑戦します。

【B-2】磁性MOFによる分子性カゴメ格子フラットバンド創出
二次元カゴメ格子が実現すると、バンド図で特定のエネルギーだけにしか状態が存在しない「フラットバンド」ができます。有機分子と磁性原子、金属表面触媒を使って、二次元カゴメ格子の実現に挑戦します。

【B-3】グラフェン上の低次元ハニカム分子によるトポロジカルエッジ状態の創出と円偏光・磁場効果の検証
「グラフェン」は、炭素原子がハチの巣構造した21世紀の注目材料です。鉛筆の芯を原子1層まで薄くしたものです。グラフェンを二層重ね、半導体や超電導など多様な電子特性の発現に挑戦します。

【B-4】金属超伝導上のグラフェン成長:超伝導電子対とディラック電子の共存
室温では普通の金属でも、冷やすと超伝導になる物質があります。金属なので表面触媒をつかうとグラフェンができます。グラフェンにはディラック電子がいます。超伝導(電子二個で電子対)とディラック電子の関係性の解明に挑戦します。

【B-5】トポロジカル絶縁体積層膜上の磁性MOFハニカム格子作製によるディラックバンドとフラットバンドの共存
トポロジカル絶縁体は、内部では絶縁体(半導体)なのに、表面でだけ金属という不思議な物質です。21世紀の新たな物質として大注目です。この上にハニカム格子を作製し、ディラックバンドとフラットバンドの関係性の解明に挑戦します。

【B-6】トポロジカル絶縁体積層膜上のハニカム原子層磁石のエピタキシャル成長とKerr/SPSTM磁気計測
トポロジカル絶縁体の表面は金属です。原子層磁石を作製できます。新たな物質:トポロジカル絶縁体上の磁気特性を知ることで、新たな磁気抵抗センサーや量子スピン材料として機能する条件解明に挑戦します。

【B-7】SiCグラフェン上のハニカム原子層磁石のエピタキシャル成長とKerr/SP-STM磁気計測
パワーデバイスを実現するワイドギャップ半導体としてSiC(シリコンカーバイド)が大注目です。SiC表面にグラフェンを作製できます。グラフェン表面上の原子層磁石の磁気構造が解明による、新たなパワーデバイス向けの磁気デバイス材料開発に挑戦します。

【B-8】ダイヤモンド表面上の有機分子によるNV量子センサー開発
ハチの巣構造の炭素配列はグラフェンです。1個の炭素原子が隣り合う炭素と3本の手でつながっています。炭素の最外殻軌道の電子1個が自由に動きディラック電子となります。ところが、三次元では炭素原子は4本の手で炭素原子同士が結合します。電子はうごけません。絶縁体となります。この3次元の炭素構造が、最も硬い「ダイヤモンド」です。ダイヤモンド内に、窒素と空孔のペアを作ると、量子スピンセンサーになります!有機分子とダイヤモンドを使った、新たな量子スピンセンサー開発に挑戦します。

【B-9】原子層超伝導表面のCDW磁場効果とキラル分子ラジカルスピン効果の検証
現在大注目の原子層物質を低温に冷やすと、超伝導だけでなく、電子が物質の特定個所に周期的に集まって電荷密度波(CDW)が発生します。磁場印加や有機分子吸着で、CDW制御に挑戦します。

量子コンピューターが支える未来
情報を保存するため、ハードディスクドライブ(HDD)に代表されるような磁石が現在使用されています。つまり、1個の媒体で“1”と“0”しか保存できません。また、情報読み取りは、磁気抵抗効果に代表されるような電子スピン伝導が使われています。磁石や電子スピン伝導は、現状の数十ナノメートル(nm = 10-9 m)よりさらに微細化していくと、熱揺らぎや不純物により不安定化や散逸が生じ、情報を保持できません。
そこで、新たな材料として注目されているのが「トポロジカル物質」です。表面/界面での空間反転対称性の破れと、強いスピン軌道相互作用によるバンド反転により、フェルミ準位近傍で価電子帯と伝導帯のバンドが入れ替わってしまいます。この効果は「表面/界面」といった次元に起因するため、微細化しても熱揺らぎや不純物の影響を受けません。まさにナノデバイスの微細化に最適な物質です。
トポロジカル物質のユニークな点は、磁性体や超伝導の表面/界面でも、強いスピン軌道相互作用があれば、トポロジカル磁性体やトポロジカル超伝導ができる点です。山田ラボでは、トポロジカル超伝導表面(境界・エッジ)で発現する、アンドレーエフ束縛状態の制御に挑戦しています。超伝導中では2個の電子が対(クーパーペア)を形成し、フェルミ準位を挟んで超伝導ギャップができています。しかし、境界では金属的なアンドレーエフ束縛状態となります。面白い点は、このアンドレーエフ束縛状態では、クーパーペアの1個が励起しますが、このクーパーペアの1個は電子ともホールとも見分けがつきません。ボゴリューホフ準粒子やマヨラナ粒子と呼ばれます。
マヨラナ粒子Aとマヨラナ粒子Bの位置を入れ替えることができれば、異なる量子状態(量子もつれ状態)ができます。α|1>+β|0>で記述でき、既存の1媒体で“1”“0”の2の1乗個の情報しか制御できなかったものが、1媒体で2のn乗個の情報処理が可能となります。キュービット(q bit)と呼ばれます。情報計算この量子もつれ状態を使って演算するのが「トポロジカル量子コンピューター」です。そのため、多くの企業がアンドレーエフ束縛状態を安定に再現よく発現できる物質開発を行っています。

量子演算
情報は、HDD「記憶」とCPU「演算処理」から制御処理されます。上記ではHDDに関して記述しましたが、ここでは演算に関して説明します。 現在の演算は「古典演算」と呼ばれます。1ビットで「1」か「0」の 二個の情報を取り扱って計算処理しています。一方、近年、「量子コンピューター」など、量子演算の話が聞かれるようになってきました。「量子演算」は、量子力学特有の状態「1」と状態「0」から複数の状態: a |1> + b |0>を作り出せる特性を利用します。そのため、「1」と「0」を使って2個以上の演算 (2n個) が行えます:。2019年には、Google社が253量子ビットの開発に成功したと報告しました。
このような「量子」現象は、室温では生じません。絶対零度(これ以上低くならない原子振動が完全停止する温度)である、マイナス273.15oC (0 K: ゼロケルビン)の極近くまで冷やさなくてはなりません。「超低温の世界」では、多くの物質が「超伝導」になります。「超伝導」は、リニアモーターカーにも使用されていますが、抵抗ゼロで電流が流れます。室温では、電子スピンは1個ずつ独立して流れています(電子はフェルミオンです)。しかし、超伝導になると電子スピン2個でペアを組んで流れます(クーパー対)。ボゾンになります。
この「超低温」の「量子」「超伝導」の世界で、近年、磁性体と超伝導の相互作用で「シバ状態」「マヨラナ準粒子」など新たな物性の発見が相次いでいます。山田ラボでは極低温 4 K、スペインとの国際共同研究では極低温 1 K、ドイツとの国際共同研究では超低温 25 mKでの極限環境で新たな量子特性の発見を目指し、量子ビットに最適な材料開発に挑戦しています。

STM超伝導計測〜量子PC用トポロジカル超伝導やマヨラナ準粒子の物性解明〜
4K以下(氷点下マイナス269℃以下の世界)の極低温の世界でも、STM観察は可能です。さらに、ヘリウム3を使用すると、超低温:25 mK 世界では、「世界最高・電子分光エネルギー分解能: 25 マイクロeV」が実現します。上図は世界トップレベルのSTM電子分光結果です。
面白いことに、物質は超電導になると、電子二個でペアを組みます。クーパー対です。クーパー対になると、常伝導のSTM探針にトンネル遷移する確率は大きく減ります、つまり、トンネル電流がながれません。そのため、左動画のように、STM電子分光曲線では「超電導ギャップ」として超電導を観測します。
現在、もっともホットトピックとして、超電導表面上の有機分子磁石で、超電導ギャップ中に発現する「シバ状態 (Yu-Shiba-Rusinov)」や、「マヨラナ準粒子 (majorana)」が、新たな量子コンピューター実現へのキー物性として注目されています!二個の超電導電子対も、アップスピンとダウンスピンです。この電子スピンと、磁石スピン磁気モーメントが相互作用して、「シバ状態 (Yu-Shiba-Rusinov)」や「マヨラナ準粒子 (majorana)」が生じるのでないか、研究が進んでいます。山田ラボでも、新たな粒子や状態の発見を目指しています。

関連文献: 村田財団成果報告書 Annual Report of The Murata Science Foundation, No.33, pp.480-488 (2019).
関連文献:Applied Physics Letters 116, 262406 (2020). 

プロジェクトC 「ニューロン型スピントロニクス:未来の人工知能」
【C-1】金ナノ粒子と有機分子と一次元ナノカーボン材料によるニューラルネットワーク作製と四端子伝導計測
人の脳は僅か20Wの消費電力です。皆さんも自分の頭を触ると、ほんのり温かい程度です。一方、スマホやパソコンは、脳よりずっと熱いです。つまり、電力消耗がずっと大きいです。なので、人の脳に近いデバイスができれば、ものすごい省電力化が実現します。人工知能を実現するには、人の脳の信号伝達:神経バイパスをまねた「ニューラルネットワーク」が必要です。我々は、これまで研究してきた、金微粒子、有機分子、ナノカーボン材料を使って「ニューラルネットワーク」を作製し、人と同じような「発火現象」を伴う伝導特性の実現に挑戦します。

人工ニューロン素子用のナノカーボン材料開発
IBM社が開発した人工知能Watsonを駆動するの必要な消費電力は1,000,000ワットです。ところが、人間の「脳」は約 20ワット という、圧倒的に省エネ電力で駆動しています。頭を使って触ってみると、温かいと感じる程度の発熱です。
「脳」を模倣して、人工的に生物神経(シナプス)信号伝達と同様の信号伝達を実現する物質回路が実現すれば、超省エネ人工知能が誕生します。生物の情報伝達も、電気伝導です。通常は、極めて低い電気信号ですが、手をぶつけたり、激辛なものを食べた際、伝導が急に跳ね上がります。「発火」と呼びます。発火して閾値を超えると、脳内の神経経路を伝って信号が伝達していき、我々は「痛い」「辛い」と感じます。
「発火」は、「確率共鳴」により生じます。通常の電気の流れ(伝導)に、「ノイズ」が混在することで生じます。このような、「伝導」+「ノイズ」で、人工的に確率共鳴を起こし「発火」を実現することに、共同研究者の田中啓文先生のグループが成功しました [Tanaka et al., Nature Communications (2017)]。山田ラボでは、これまで培ってきた「カーボンナノチューブ (CNT)」「グラフェンナノリボン (GNR)」「磁性金属」を駆使して、神経模倣デバイスの開発を行っています。
関連文献: Method for Controlling Electrical Properties of Single-Layer Graphene Nanoribbons via Adsorbed Planar Molecular Nanoparticles, Scientific Reports, 5 (2015), 12341.
関連文献: Energy Gap Opening by Crossing Drop Cast Single-Layer Graphene Nanoribbons, Nanotechnology 29, 315705 (2018).
関連文献:STM/STS計測によるCu(111)上に超高真空中で吸着したウェットカーボンナノチューブのアンジップ化検証, 表面と真空 64 (No.1) pp.40-46 (2021).

プロジェクトD 「未来の地球を守るための研究:光触媒・生命・環境」
【D-1】MOFへの二酸化炭素単分子吸着とUV照射分解反応の原子レベル直接観察〜二酸化炭素分解による地球温暖化抑制への挑戦〜
地球の温暖化を抑制するには、根本的な科学的解決法が必要です。空気中のCO2を効率よく吸着し、光分解する機構の解明に挑戦します。
【D-2】単一高分子へのUV照射による分解反応の原子レベル直接観察〜プラスチック環境問題の原理解明への挑戦〜
地球上にあふれたプラスチックごみ問題が注目されています。なぜ高分子は光で分解するのでしょうか。正しい原理の解明に挑戦します。
【D-3】極低温・超高真空環境での水・アンモニア・メタン分子へのUV照射によるタンパク質分子作製〜宇宙での生命誕生解明への挑戦〜
我々の研究室の超高真空・極低温装置内の環境は「宇宙空間」と同じです。地球にいながら、研究室で宇宙と同じ研究ができます。水・アンモニア・メタン分子を使えば、生命に必要な4元素が揃います。これに光を照射するだけで、我々生命が誕生しました。生命誕生の秘密に開発に挑戦します。
【D-4】真空フリーズドライ法による単一生命分子の実空間観察〜原子レベル構造解析による創薬開発への挑戦〜
真空装置内で、タンパク質等の生命分子は「フリーズドライ」で、水分子だけが抜け、分子骨格は維持されます。これにより「実空間」での、原子レベル構造解析の実現に挑戦します。

光照射STMによる金属表面での分子化学反応の直接観察:光重合ポリマー・光触媒〜光制御ナノ分子デバイスの開発!〜
真空基板表面上で、特定の有機分子は、光や熱などの外部刺激によりBr,Cl等を脱離します。そして、熱拡散し、他の分子と新たな化学結合を結ぶことで、基板表面上で巨大な「高分子ポリマー」を形成します。全てのプロセスを、不純物フリーの超高真空環境で行えます。山田ラボでは、この手法を用いて、新たな高分子ポリマーを開発しています。さらに、有機分子は光照射により光触媒効果を持つものがあります。水素発生を促す新たな光触媒分子薄膜の開発も行っています。
真空低温環境下での分子化学反応の直接観察 〜「宇宙」空間での生命誕生を知りたい!〜
宇宙空間には、現在までに 200種を超える有機物である、炭素鎖分子が存在しています。ニチニルラジカル (CCH)や、シアノジアセチレン (HC5H)があります。また、宇宙空間は超高真空です。温度は基本 10 K以下の極低温環境です(摂氏ゼロ度 0 ℃ = 273.15 K)。太陽などの恒星の周囲でも数十 K しかありません。山田ラボでは「宇宙空間と同じ」超高真空・極低温環境を人工的に創り出せます。さらにSTM観察しながら、光照射することで、宇宙での有機物の化学反応、そして生命誕生のメアニズムが解明できます。

【9】Publications : 研究論文・解説・書籍・特許等

山田ラボでは、研究成果を「論文・解説・書籍・特許」にして世界に発信しています。ぜひクリックしたり、PDFファイルをご覧いただき「世界最先端の研究の世界」を体感してください!
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Cu(111)表面上のCO分子膜は動き続けていることが判明!40年間、固まってると思われていました。
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世界で初めて、ポルフィリン分子と磁性原子がくっつき化学反応が起こる前の状態の直接観察に成功!
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特殊な式をつかうことで水晶振動子(QCM)で分子を厚さ[m]でなく、1個ずつの個数で吸着制御できます!
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非常に柔らかい環状クラウンエーテル分子の二次元規則(7x4)配列をCu(111)表面で実現!
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鉄をつかうと、分子を止められます!室温でも動きません!室温1分子磁気抵抗センサー!「特許取得」
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「世界初」1個の有機分子が磁気抵抗センサーに使えることを実証しました!

[100]【Report, 報告書】 【助成38-12】超高密度2次元鉄ナノ磁石ハニカム規則配列作製による超省エネ電界書き込み制御型・磁気記憶素子の開発 Annual Report of The Casion Science Promotion Foundation, pp.26-27 (2022).
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[99] 【BOOK】朝倉書店|図説 表面分析ハンドブック, 日本表面真空学会 編
26.5 スピン偏極走査トンネル顕微鏡, Spin-polarized STM (SP-STM) 山田豊和 (Toyo Kazu Yamada)
B5/576ページ/2021年06月01日 ISBN978-4-254-20170-3 C3050
定価19,800円(本体18,000円+税)

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[98] Interplay between point symmetry, oxidation state, and the Kondo effect in 3d transition metal acetylacetonate molecules on Cu(111)
Hongyan Chen, Timo Frauhammer, Satoru Sasaki, Toyo Kazu Yamada, and Wulf Wulfhekel
Physical Review B 103, 085423 (2021).
DOI: 10.1103/PhysRevB.103.085423

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[97] Oxidative Vaporization Etching for Molybdenum Tip Formation in Air
Yuto Goto, Rie Suizu, Yutaka Noguchi, and Toyo Kazu Yamada
Applied Surface Science 542, 148642 (2021).
DOI: 10.1016/j.apsusc.2020.148642

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Supplementally Information: PDF
Supporting Movie of the Mo-tip flame etching mp4 movie


[96] STM/STS計測によるCu(111)上に超高真空中で吸着したウェットカーボンナノチューブのアンジップ化検証
Unzipping Process of Wet Carbon NanotubesAdsorbedon Cu(111)in Ultra-High Vacuum:an STM / STSstudy
後藤悠斗, 安藤紗絵子, 角川佳樹, 高原茂, 山田豊和 (Yuto Goto, Saeko Ando, Keiju Kakugawa, Shigeru Takahara and Toyo Kazu Yamada)
表面と真空 64 (No.1) pp.40-46 (2021).
https://doi.org/10.1380/vss.64.40

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[95]クラウンエーテル環状分子(7×4)配列へのコバルト単原子層の室温吸着:超高真空STM・UPS研究
Room-Temperature Deposition of Cobalt Monolayer on (7×4) Crown-Ether Ring Molecular Array: Ultra-High Vacuum STM and UPS Study
根本諒平・Peter Krueger・細貝拓也・堀江正樹・解良聡・山田豊和 (Ryohei Nemoto, Peter Krueger, Takuya Hosokai, Masaki Horie, Satoshi Kera and Toyo Kazu Yamada)
表面と真空 63 (No.9) pp.465-469 (2020).
https://doi.org/10.1380/vss.63.465

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[94] Instability of skyrmions in magnetic field
Loic Mougel, Patrick M. Buhl, Ryohei Nemoto, Timofey Balashov, Marie Herve, Julian Skolaut, Toyo Kazu Yamada, Bertrand Dupe, and Wulf Wulfhekel
Applied Physics Letters 116, 262406 (2020).
DOI: 10.1063/5.0013488.

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[93] 強磁性Fe(001)上のMn(001)超薄膜層間反強磁性への界面乱れによるノンコリニア磁気結合の発現:スピン偏極STM研究
Spin-Polarized Scanning Tunneling Microscopy Study of Non-Collinear Magnetic Coupling in Layerwise Antiferromagnetic Mn(001) Ultra-Thin Films on Fe(001) due to Interface Roughening
小菅 裕太郎、山田 豊和* (Yutaro Kosuge and Toyo Kazu Yamada*)
表面と真空 63 (No.9) pp.459-464 (2020).
https://doi.org/10.1380/vss.63.459

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[92] 【Flash, 紹介記事】 金属表面上で動く分子
現代化学 (Chemistry Today), Vol.591 No.6, pp.12-13 (2020), FLASH.
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[91] Carbon Monoxide Stripe Motion Driven by Correlated Lateral Hopping in 1.4 × 1.4 Monolayer Phase on Cu(111)
Nana K. M. Nazriq, Peter Krueger, and Toyo Kazu Yamada
The Journal of Physical Chemistry Letters 11, 1753-1761 (2020).
[download: PDF, Supplementally Information]
Supporting Movies: CO hopping Movie1, Movie2, Movie3, Movie4, Movie5,
プレスリリース(PDF)。 日刊産業新聞(2020.3.23, 13面・非鉄)。
web release (WEBリリース)。 web 1。 web 2。 web 3。


[90] 雪山へ舞う白鳥、安藤紗絵子, 根本諒平, 山田 豊和
応用物理学会誌, Science As Art, Vol.89 No.2, pp.63 (2020).
[download: PDF]
https://doi.org/10.11470/oubutsu.89.2_63


[89] Direct Imaging of Precursor Adcomplex States during Cryogenic-Temperature On-Surface Metalation: Scanning Tunneling Microscopy Study on Porphyrin Array with Fe Adsorption at 78.5 K
Eiichi Inami, Masataka Yamaguchi, Ryohei Nemoto, Hideki Yorimitsu, Peter Krueger, and Toyo Kazu Yamada
The Journal of Physical Chemistry C 124, 3621-3631 (2020).
[download: PDF, Supplementally Information]


[88]【Report, 報告書】 超伝導基板上でのSTM磁性原子操作によりマヨラナ粒子の発現メカニズム解明, Annual Report of The Murata Science Foundation, No.33, pp.480-488 (2019).
[download: PDF]


[87] 【REVIEW, 解説】《次世代市場トレンド≫次世代先端デバイス動向(7)有機デバイス 〜有機ELデバイスなどとして既に実用化されているが、さらに、高度な機能を発揮するものを創出する試みが精力的に進められている!〜 (株式会社 矢野経済研究所 ヤノ イー プラス編集部). 5. 有機デバイスに関連する企業・研究機関の取組動向, 5-3. 国立大学法人 千葉大学 (山田 豊和)
Yano E plus, No.140, pp.45-48 (2019). 2019年11月15日発行
[download: PDF]


[86] カブトムシの幼虫、ナズリク ナナ、山田 豊和
応用物理学会誌, Science As Art, Vol.88 No.10, pp.641 (2019).
[download: PDF]
https://doi.org/10.11470/oubutsu.88.10_641


[85] Well-Ordered Monolayer Growth of Crown-Ether Ring Molecules on Cu(111) in Ultra-High Vacuum: A STM, UPS, and DFT Study
Ryohei Nemoto, Peter Krueger, Ayu Novita Putri Hartini, Takuya Hosokai, Masaki Horie, Satoshi Kera, and Toyo Kazu Yamada
The Journal of Physical Chemistry C 123, 18939-18950 (2019).
[download: PDF, Supplementally Information]


[84] Fabrication of tungsten tip probes within 3 s by using flame etching
Takayuki Yamaguchi, Eiichi Inami, Yuto Goto, Yuta Sakai, Satoru Sasaki, Teruaki Ohno, and Toyo Kazu Yamada
Review of Scientific Instruments 90, 063701 (2019). (8 pages)
[download: PDF, Supplementally Information]
Movie: Flame Etching mp4 file movie


[83] 【Photo contest】「JSPSフォトコンテスト」
第13回応用物理学会フォトコンテスト作品, 2019年春季.
安藤紗絵子、根本諒平、山田豊和, 「雪山へ舞う白鳥」


[82] 【Photo contest】「JSPSフォトコンテスト」
第13回応用物理学会フォトコンテスト作品, 2019年春季.
Nana K. M. Nazriq, 山田豊和, 「カブトムシの幼虫」


[81] CO-tip manipulation using repulsive interactions
Nana K. M. Nazriq, Emi Minamitani, and Toyo Kazu Yamada
Nanotechnology 29, 495701 (2018).
[download: PDF, Supplementally Information]


[80] 【Report, 報告書】室温でも超安定!「世界最薄」有機分子膜を実現〜磁石のパワーで分子膜を強力固定〜
山田豊和, 千葉大学環境報告書, pp.18 (2018) 発行日2018.8.31.


[79] 【Report, 報告書】原子欠陥制御による電界駆動Fe/MgO磁気デバイスの創成
山田豊和, 材料科学研究助成研究成果報告(公益財団法人 日立金属・材料科学財団), 第31集, pp.24-27 (2018).


[78] 【REVIEW, 解説】磁石でつくる室温でも安定な世界最薄の有機分子膜─磁性3d電子状態と分子π軌道との強固な結合 山田豊和, 稲見栄一
月刊「化学」 Vol. 73, No. 8, pp.44-48 (2018).
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[77] 【Patent, 特許】山田豊和、稲見栄一, 発明の名称:薄膜形成方法及び記憶素子
出願日:平成30年6月5日, 出願番号:特願2018-107375, 特開2019-210511
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[76] Controlled Deposition Number of Organic Molecules Using Quartz Crystal Microbalance Evaluated by Scanning Tunneling Microscopy Single-Molecule-Counting
Eiichi Inami, Masataka Yamaguchi, Takayuki Yamaguchi, Mikio Shimasaki, and Toyo Kazu Yamada
Analytical Chemistry 90, pp. 8954-8959 (2018).
[download: PDF, Supplementally Information]
3D illustration by Dr. Inami


[75] Energy Gap Opening by Crossing Drop Cast Single-Layer Graphene Nanoribbons
Toyo Kazu Yamada, Hideto Fukuda, Taizo Fujiwara, Polin Liu, Kohji Nakamura, Seiya Kasai, Amadeo L. Vazquez de Parga and Hirofumi Tanaka
Nanotechnology 29, 315705 (2018).
[download: PDF, Supplementally Information]


[74] 【REVIEW, 解説】 薄さは分子1個分!室温でも「超安定」な極薄有機分子膜‐磁気メモリの高密度化・省エネ化を促進, E. Inami and T. K. Yamada
academist Journal, 研究コラム, 2018年3月9日.
[download: PDF],


[73] Room temperature stable film formation of π-conjugated organic molecules on 3d magnetic substrate
E. Inami, M. Shimasaki, H. Yorimitsu, and T. K. Yamada
Scientific Reports 8, 353 (2018)
[download: PDF, Supplementally Information]
プレスリリース。 日本経済新聞、他ネットニュース。 千葉日報(1面)。 日刊工業新聞。 日経産業新聞。 産業新聞。


[72] スピン偏極走査トンネル顕微鏡による原子・分子・ナノ磁性体の磁気構造解明,
山田豊和
科研費NEWS「最近の研究成果トピックス」, Vol.4, pp.10.


[71] 【BOOK】Compendium of Surface and Interface Analysis, Chapter 103: Spin-polarized scanning tunneling microscopy (SP-STM)
Toyo Kazu Yamada
Springer, Singapore, DOI: 10.1007/978-981-10-6156-1 (日本表面科学会"表面分析図鑑"英語版), pp. 637-642, (2018).
[download: PDF]


[70] 【Review, 解説】スピン偏極STMの発展の歴史と今後の課題,
山田豊和,
日本真空学会誌 (Journal of the Vacuum Society of Japan), 60巻, No.5, pp. 159-164, 2017年.
[download: PDF]


[69] 【BOOK】Molecular Architectonics
The Third Stage of Single Molecule Electronics
Spin polarization of single organic molecules: towards single molecular spintronics
T. K. Yamada
Springer, pp. 381-397, (2017). ISBN 978-3-319-57096-9, (eBook) DOI 10.1007/978-3-319-57096-9
[download: XPS]


[68] Role of π-d hybridization in 300-K organic-magnetic interface: metal-free phthalocyanine single molecules on bcc Fe(001)-whisker
T. K. Yamada, Y. Yamagishi, S. Nakashima, Y. Kitaoka, and K. Nakamura
Phys. Rev. B 94, 195437 (2016).
Selected as “Kaleidoscope”
[download: PDF]


[67] Temperature control of the growth of iron oxide nanoislands on Fe(001)
Toyo Kazu Yamada, Yuki Sakaguchi, Lukas Gerhard, and Wulf Wulfhekel
Japanese Journal of Applied Physics 55, 08NB14 (2016).
[download: PDF]


[66] Electron-bombarded <110>-oriented tungsten tips for stable tunneling electron emission
T. K. Yamada, T. Abe, N. M. K. Nazriq, and T. Irisawa
Review of Scientific Instruments 87, 033703 (2016).
[download: PDF]


[65] 【翻訳・解説】表面上の原子スピン (Atomic spins on surfaces, Andreas Heinrich, Physics Today)
山田豊和
パリティ, 31 (2016) 24-31.
[download: PDF]


[64] 【冊子】 極限スピン観察と制御:SP-STM (PDF 1.4MB)
山田豊和
日本磁気学会 第210回研究会資料「“スピン”の可視化とその操作」 (2016) 17-21.


[63] Method for Controlling Electrical Properties of Single-Layer Graphene Nanoribbons via Adsorbed Planar Molecular Nanoparticles,
Hirofumi Tanaka, Ryo Arima, Minoru Fukumori, Daisuke Tanaka, Ryota Negishi, Yoshihiro Kobayashi, Seiya Kasai, Toyo Kazu Yamada and Takuji Ogawa
Scientific Reports, 5 (2015), 12341.
[download: PDF, Supplementally Information]
プレスリリース:日刊工業新聞(紙面)。 日刊工業新聞(ネット)。


[62] 【Review, 解説】How to get molecular spin-polarization using spin-polarized STM, T. K. Yamada,
Journal of The Surface Science Society of Japan, 36 (2015) 375-381.
[download: PDF]


[61] 【BOOK】Electronic processes in organic electronics
: Bridging electronic states and device properties
Chapter 18: Single molecular spintronics, T. K. Yamada
Springer, Tokyo、Springer Series in Materialsa Science 209, (2015) pp.403-416.


[60] 【Photo contest】「JSPSフォトコンテスト」
第62回応用物理学会春季学術講演会, 坂口雄基、山田豊和
「題名:酸化鉄原子層台地」 走査トンネル顕微鏡によるFe(001)-p(1x1)O原子テラス上に成長したマグネタイトテラスの原子形状像。2015.3.11-14.


[59] 【Photo contest】「JSPSフォトコンテスト」
第62回応用物理学会春季学術講演会, 中島脩平、山田豊和
「題名:世界最小・雲の上の山」 極低温走査トンネル顕微鏡によるCu(111)原子テラス上に吸着した鉄の原子1個とフタロシアニン有機分子1個を観察した像。」


[58] 【Photo contest】「JSPSフォトコンテスト」
第62回応用物理学会春季学術講演会, 阿部巧、山田豊和
「題名:タングステン単結晶山」 単結晶化したタングステン線を化学エッチングして作成した針。


[57] Room temperature spin-polarizations of Mn-based antiferromagnetic nanoelectrodes (Mn tip spin polarization)
T. K. Yamada and A. L. Vazquez de Parga
Appl. Phys. Lett. 105 (2014) pp.183109: 1-5.
[download: PDF]


[56] 【BOOK】マイクロビームアナリシス・ハンドブック
第2.3.2章スピン偏極走査トンネル顕微鏡
山田豊和、オーム社、東京、pp.203-206, 2014年.
[download (50MB)]


[55] 【BOOK】強力永久磁石の開発と磁区観察先端技術
第1章スピン偏極STM開発技術、山田豊和、日本学術振興会産学協力研究委員会特別事業、日本学術振興会マイクロビームアナリシス第141委員会編纂、東京、pp.1-32, 2014年
[download! (43MB)]


[54] 応用物理学会誌、図解・学術講演会大分類 表面・薄膜分野 , 山田豊和
「スピン偏極走査トンネル顕微鏡(STM)による1nmサイズの単一有機分子を用いた世界最小・磁気抵抗センサーの実証実験。フタロシアニン分子を介する伝導を磁性探針とナノ磁石の磁気結合(平行・反平行)で制御。」 2014年8月号.


[53] 追悼: 溝口正先生を偲んで。
山田豊和
日本磁気学会誌まぐね, 9 (2014) 245.


[52] Recovery of nanomolecular electronic states from tunneling spectroscopy: LDOS of low-dimensional phthalocyanine molecular structures on Cu(111),
Y. Yamagishi, S. Nakashima, K. Oiso and T. K. Yamada,
Nanotechnology 24 (2013) 395704 (11pp).
[download: PDF]


[51] How contacting electrodes affect single π-conjugated molecular electronic states: LDOS of phthalocyanine nano molecules on MgO(001), Cu(111), Ag(001), Fe(001) and Mn(001) [Selected Topics in Applied Physics (Nano Electronics and Devices)]
Shuhei Nakashima, Yuhei Yamagishi, Kenji Oiso, Toyo Kazu Yamada,
Jpn. J. Appl. Phys. 52 (2013) 110115.
[download: PDF]


[50] 【Review, 解説】スピン偏極走査トンネル顕微鏡:ナノ材料の原子スケール磁気イメージング
山田豊和
日本顕微鏡学会誌, 48 (2013) 20-25.
[download: PDF]


[49] 【Review, 解説】単一ナノ分子・磁気抵抗素子〜スピン偏極STMによる単一分子電子スピン伝導測定〜
山田豊和
表面科学, 34 (2013) 443-448.
[download: PDF]


[48] 【Report, 報告書】 「ナノ」を通じた国際交流。
山田豊和
公益財団法人山田科学振興財団 財団ニュース平成25年度第1号、pp.18, 2013年


[47] Spintronics with single molecules,
W. Wulfhekel, T. Miyamachi, S. Schmaus, T.K. Yamada, A. F. Takacs, A. Bagrets, F. Evers, T. Balashov, M. Gruber, V. Davesne, M. Bowen, and E. Beaurepaire
IEEE NANO proceedings, 2012 12th IEEE Internationa; Conference on Nanotechnology, (2012) 957-961.
[download: PDF]


[46] Single molecule magnetoresistance with combined antiferromagnetic and ferromagnetic electrodes,
A. Bagrets, S. Schmaus, A. Jaafar, D. Kramczynski, T.K. Yamada, M. Alouani, W. Wulfhekel, and F. Evers,
Nano Letters, 12, (2012) 5131-5136.
[download: PDF, Supplementally Information]


[45] Robust spin crossover and memristance across a single molecule,
T. Miyamachi, M. Gruber, V. Davesne, M. Bowen, S. Boukari, F. Scheurer, G. Rogez, T. K. Yamada, P. Phresser, E. Beaurepaire, and W. Wulfhekel,
Nature Communications, 3, (2012) 938.
[download: PDF]
プレスリリース。 NHK news (pictures)。 NHK news (movie: 32MB)。
千葉日報、産経新聞、読売新聞、毎日新聞。


[44] 【Review, 解説】 Electric Field Control of Fe Nano Magnets,
T. K. Yamada, L. Gerhard, R. J. H. Wesselink, A. Ernst, and Wulf Wulfhekel,
J. Magn. Soc. Jpn., 36, (2012) 100-103.
[download: PDF]


[43] 【Review, 解説】 電界による鉄ナノ磁石制御:金属表面での磁気電気結合
山田豊和
日本金属学会誌まてりあ, 51 (2012) 475-479.
[download: PDF]


[42] 【解説】 〜従来の100倍容量の記録を可能にする〜新しい鉄ナノ記録材料
山田豊和
Material Stage (月刊 マテリアルステージ), 12 (2012) 57-60.


[41-4] 【解説小記事】 留学経験を土台に世界を舞台に研究
山田豊和
日経BPムック・学習院大学理学部広報誌, pp.26-27, 2012年.


[41-3] 【解説小記事】 1個の鉄原子で情報記録に成功!〜世界最小・ナノ分子磁気メモリ〜
山田豊和
千葉大学「研究成果の見える化」最近の革新的な研究成果, pp.2, 2012年.


[41-2] 【解説小記事】 1個の鉄原子で情報記録に成功!〜世界最小・ナノ分子磁気メモリ〜
山田豊和
千葉大学「千葉大プレス」, pp.15, 2012年.


[41-1] 【解説小記事】 世界最小・ナノ分子磁気メモリ
山田豊和
千葉大学「Chiba University Handbook」, pp.12, 2012年.


[40] Giant magnetoresistance through a single molecule,
S. Schmaus, A. Bagrets, Y. Nahas, T.K. Yamada, A. Bork, F. Evers, and W. Wulfhekel,
Nature Nanotechnology, 6, (2011) 185-189.
[download: PDF, Supplementally Information]
プレスリリース(パワポ)。 プレスリリース(用紙)。 プレスリリース(記者会見)。
新聞(紙面):読売新聞、毎日新聞、千葉日報。
R25。 NatureJapan。 ジャパンナレッジ。 千葉大学・千葉理数教育高大連携ニュース No.42。 文教ニュース。


[39] Electrical control of the magnetic state of Fe,
L. Gerhard, T. K. Yamada, T. Balashov, A. F. Takacs, M. Daena, S. Ostanin, A. Ernst, I. Mertig, and W. Wulfhekel,
IEEE Transactions on Magnetics, 47, (2011) 1619-1622.
[download: PDF]


[38] 【REVIEW】Electric field control of Fe nano magnets: towards metallic non-volatile data-storage devices,
Toyo Kazu Yamada, Lukas Gerhard, Timofey Balashov, Albert F. Takacs, Rien J. H. Wesselink, and Wulf Wulfhekel,
Japanese Journal of Applied Physics, 50 (2011) 08LA03: 1-5.
[download: PDF]


[37] 【REVIEW, 解説】STMが切り拓く新たなスピンデバイスの創成, 山田豊和
日本磁気学会誌まぐね, 6 (2011) 333-341.


[36] 【REVIEW, 解説】【Editor’s Choice】電界による鉄ナノ磁石制御:金属表面での磁気電気結合の発見
山田豊和
表面科学, 32 (2011) 361-367.
[download: PDF]


[35] 日本発世界を変えるエコ技術 (山田豊和's インタビュー記事)【BOOK】
著:山路達也, ポット出版 (2011) 91-99.
ISBN978-4-7808-0161-3 C0040
[download: PDF]


[34] Magneto-electric coupling at metal surfaces,
L. Gerhard, T.K. Yamada, T. Balashov, A.F. Takacs, M. Daena, S. Ostanin, A. Ernst, I. Mertig, and W. Wulfhekel,
Nature Nanotechnology, 5, (2010) 792-797.
[download: PDF, Supplementally Information]
News & views: Making metallic memories by Dr. R. Ramesh.
[download: PDF]
記者会見。 プレスリリース。 毎日新聞、朝日新聞、千葉日報、日本経済新聞。


[33] 【BOOK】磁気イメージングハンドブック, 日本磁気学会編,
編集幹事:大島則和、小野寛太、笹田一郎、三俣千春、山田豊和、
山田豊和, 第1章. (2010) 15-44.
共立出版、東京、2010年9月15日、ISBN 978-4-320-03468-6
2015年日本磁気学会 出版賞


[32] Spin polarization vectors of field emitted electrons from apexes of Fe-coated W tips,
T. Irisawa, T. K. Yamada, and T. Mizoguchi,
New Journal of Physics, 11, (2009) 113031.
[download: PDF]


[31] Surface reconstruction of clean bcc-Fe{110}: A quasi-hexagonal top-layer with periodic height modulation,
T. K. Yamada, H. Tamura, M. Shishido, T. Irisawa, and T. Mizoguchi,
Surface Science, 603, (2009) 315-319.
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[30] Requirement of Ala residues at g position in heptad sequence of α-helix-forming peptide for formation of fibrous structure,
G. Aoki, T. K. Yamada, M. Arii, S. Kojima and T. Mizoguchi,
Journal of Biochemistry, 144, (2008) 15-19.
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[29] Spin configuration in a frustrated ferromagnetic/antiferromagnetic thin-film system,
T. K. Yamada, E. Martinez, A. Vega, R. Robles, D. Stoeffler, A. L. Vazqeuz de Parga, T. Mizoguchi and H. van Kempen,
Nanotechnology, 18 (2007) 235702: 1-6.
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[28] 【REVIEW, 解説】Spin-Polarized Scanning Tunneling Microscopy (cover image (表紙))
T. K. Yamada and T. Mizoguchi
The Physical Society of Japan, 62巻, No.7, pp.499-508, 2007年.
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[27] 【REVIEW, 解説】Spin-Polarized STM/STS: An Ultimate Experiment in Magnetism
T. K. Yamada and T. Mizoguchi
Solid State Physics, 42 (2007) 749-756.
[download: PDF]


[26] Enormous electron emission from polygonal W tip,
T. Irisawa, T. K. Yamada, and T. Mizoguchi,
6th International Symposium on Atomic Level Characterizations for New Materials and Devices 2007 (ALC07) Proceedings: JSPS1441 Committee Activity Report (2007).


[25] 【Report, 報告書】Spin-Polarized Scanning Tunneling Microscopy / Spectroscopy,
T. K. Yamada,
Report of The Magnetics Society of Japan Symposium, 155 (2007) 41-46.


[24] 【Report, 報告書】Study of magnetic interaction between ferromagnetic and anti-ferromagnetic layers by means of spin-polarized scanning tunneling spectroscopy: Fe/Mn/Fe(001)-multilayers,
T. K. Yamada, and T. Mizoguchi,
Report of The Magnetics Society of Japan Symposium, 140 (2007) 21-27.


[23] Study of c(2x2)-MnAu(100) layers on Mn(001) by means of scanning tunneling microscopy /spectroscopy,
T. K. Yamada, A. L. Vazqeuz de Parga, M. M. J. Bischoff, T. Mizoguchi and H. van Kempen,
Surface Science, 600 (2006) 1048-1053.
[download: PDF]


[22] Evaluation of sample spin-polarization from spin-polarized scanning tunneling spectroscopy experiments,
T. K. Yamada, A. L. Vazquez de Parga, M. M. J. Bischoff, T. Mizoguchi, and H. van Kempen,
Microscopy Research and Technique, 66 (2005) 93-104.
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[21] Characterization of Fe/W spin-polarized tips by means of holographic TEM and spin-polarized STS of optically pumped p-GaAs,
T. Matsuda, A. Tonomura, T. K. Yamada, D. Okuyama, N. Mizuno, A. L. Vazqeuz de Parga, H. van Kempen and T. Mizoguchi,
IEEE Transactions and Magnetics, 41 (2005) 3727-3729.
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[20] 【REVIEW, 解説】 Study of magnetic structure of manganese (001) atomic layers by means of spin-polarized scanning tunneling microscopy / spectroscopy having sub-nanometer scale magnetic resolution,
T. K. Yamada and T. Mizoguchi,
Materia Japan, 44, (2005) 975.
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[19] Spin-polarized scanning tunneling microscopy / spectroscopy study of MnAu(001) thin films,
T.K. Yamada, R. Robles, E. Martinez, M.M.J. Bischoff, A. Vega, A.L. Vazqeuz de Parga, T.Mizoguchi and H. van Kempen,
Physical Review B, 72 (2005) 014410: 1-4.
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[18] 【REVIEW】 Spin-Polarized Scanning Tunneling Microscopy/Spectroscopy and Quantitative Analysis studied on Mn(001)
T. K. Yamada and T. Mizoguchi
Journal of The Surface Science Society of Japan, 26 (2005) 2-10.
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[17] Study of spin-polarized scanning tunneling microscopy/spectroscopy on ultra-thin magnetic films and multilayers: sub-nanometer scale magnetism,
T. K. Yamada,
Radboud University Nijmegen, Ph.D thesis (2005) pp.1-193. ISBN90-9019035-X
[download: PDF (19MB)]


[16] Study of Fe/Mn/Fe(001) multilayers by means of scanning tunneling microscopy/spectroscopy,
T. K. Yamada, M. M. J. Bischoff, A. L. Vazqeuz de Parga, T. Mizoguchi and H. van Kempen,
Surface Science, 558 (2004) 201-210.
[download: PDF]


[15] Sub-Nanometer Scale Mgnetism of Ultra-Thin Manganese Films on Fe(001) studied by means of Spin-Polarized Scanning Tunneling Microscopy/Spectroscopy,
T. K. Yamada,
Gakushuin University, Ph.D thesis (2004) pp.1-113.
[download: PDF (30MB)]


[14] Introduction of Basic Magnetism through Experiments V,
T. Mizoguchi and T. K. Yamada,
Journal of the Magnetics Society of Japan, 28 (2004) 1142-1149.


[13] Observation of spin-polarized surface states on ultrathin bct Mn(001) films by spin-polarized scanning tunneling spectroscopy,
T. K. Yamada, M. M. J. Bischoff, G. M. M. Heijnen, T. Mizoguchi, and H. van Kempen,
Physical Review Letters, 90 (2003) 056803: 1-4.
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[12] Origin of magnetic contrast in spin-polarized scanning tunneling spectroscopy: experiments on ultra-thin Mn films
T. K. Yamada, M. M. J. Bishoff, G. M. M. Heijnen, T. Mizoguchi, and H. van Kempen,
Japanese Journal of Applied Physics, 42 (2003) 4688-4691.
[download: PDF]


[11] Data evaluation for spin-polarized scanning tunneling spectroscopy measurements,
T. K. Yamada, A. L. Vazquez de Parga, M. M. J. Bischoff, T. Mizoguchi, and H. van Kempen,
AIP Conf. Proc., 696 (2003) 608-614.
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[10] Use of voltage pulses to detect spin-polarized tunneling (Cover image, 表紙)
T. K. Yamada, M. M. J. Bischoff, T. Mizoguchi, and H. van Kempen
Applied Physics Letters, 82 (2003) 1437-1439. (Cover image)
[download: PDF]


[9] 【REVIEW】 Scanning Tunneling Spectroscopy Study of Surface States of 3d Metals: Chemical Identification, Magnetic Contrast and Orbital Kondo Resonance State,
M. M. J. Bischoff, C. M. Fang, R. A. de Groot, G. M. M. Heijnen, M. I. Katsnelson, O. Yu. Kolesnychenko, R. de Kort, A. I. Lichtenstein, A. J. Quinn, A. L. Vazqeuz de Parga, T. K. Yamada and H. van Kempen,
Acta Physica Polonica A, 104 (2003) 231-243.
[download: PDF]


[8] Local electronic structure of Fe(001) surfaces studied by scanning tunneling spectroscopy,
M. M. J. Bischoff, T. K. Yamada, C. M. Fang, R. A. de Groot and H. van Kempen,
Physical Review B, 68 (2003) 045422: 1-7.
[download: PDF]


[7] Analysis of the short-range order of the Au/Fe(001) surface alloy,
M. M. J. Bischoff, T. K. Yamada, and H. van Kempen
Physical Review B, 67 (2003) 165403: 1-7.
[download: PDF]


[6] Scanning tunneling microscopy and spectroscopy study on the submonolayer growth of Mn on Fe(001)
M. M. J. Bischoff, T. Yamada, A. J. Quinn, and H. van Kempen
Surface Science, 501 (2002) 155-167.
[download: PDF]


[5] STM and STS study of ultrathin Mn layers on Fe(001),
T. K. Yamada, M. M. J. Bischoff, T. Mizoguchi, and H. van Kempen,
Surface Science, 516 (2002) 179-190.
[download: PDF]


[4] Photoemission and STM, STS Study of Cs/p-GaAs(110),
T. Yamada, J. Fujii, T. Mizoguchi
CP570, SPIN2000, 14th International Spin Physics Symposium, 908-911, (2001).


[3] STM, STS, and Local Work Function Study of Cs/p-GaAs(110),
T. Yamada, J. Fujii, T. Mizoguchi,
Surface Science, 479 (2001) 33-42.
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[2] Polarization of Secondary Electrons from Clean and Oxygen-Chemisorbed Ni(110),
Y. Oshima, T. Yamada, J. Fujii, and T. Mizoguchi,
Trans. Magn. Soc. Japan, 1 (2001) 16-21.
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[1] Direct observation of surface alloying and interface roughening: Growth of Au on Fe(001),
M. M. J. Bischoff, T. Yamada, A. J. Quinn, R. G. P. van der Kraan, and H. van Kempen,
Physical Review Letters, 87 (2001) 246102: 1-4.
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紹介
スマートフォンやタブレットなど情報端末の爆発的な普及により、多くの人々が手軽に安価で電子情報をやり取りできる時代となってきた。数十年前にはコンピュータ一台の大きさが数メートルに及んだものが今や手のひらサイズにまで小さくなり、手のひらサイズに保存できる情報量は、百万個から1兆個に増加した。これを実現したのが情報記録素子の微細化技術の急速な発展である。

世の中にあふれる電子「情報」は全て2進数に変換され、磁石の向き(N-Sは「1」S-Nは「0」)で記録される。情報量の増大はすなわち膨大な磁石の需要を生じる。また情報の書き込みには電力が必要であり新たなエネルギー消費を促す。つまり、急激な情報社会の発展は、ますますの電力消耗と資源枯渇を生み出しているのである。現在の生活水準の維持と、地球環境に配慮した持続可能社会実現の両立は、よりよい人類社会の発展には必要不可欠である。

山田豊和は、困難と考えられてきたこれらの課題を解決する、革新的な素子開発を近年立て続けに報告してきている(Nature Nanotechnology 2010年, Nature Nanotechnology 2011年, Nano Letters 2012年, Nature Communications 2012年, 他)。これらの業績は「ナノスケールの鉄ナノ磁石を電界でコントロール!冷たいPC実現へ」、「インク分子で世界最小・磁気センサーの開発に成功!」としてメディアに大きく取り上げられた(新聞報道15件、NHK報道2件)。2012年には、日本物理学会・若手奨励賞、日本磁気学会・内山賞、千葉大学・先進科学賞が授与された。研究代表者として獲得した外部資金(科研費・若手A, 新学術領域等)は28件、総額131,333千円、学会等への招待講演は62件に上る。社会に大きなインパクトを与えた理由は、彼の独創的な研究が近未来素子実現への新たな可能性を示したからである。

そもそも、どのようにすれば省資源・省電力な磁気情報素子が開発できるのだろうか。情報を記録するということは、現実には微小なナノ磁石のNS極の向きを変えることを意味する。磁石の向きを変えるには、コイルに電流を流し「磁界」をかけてやればよい。実際に身の回りのパソコン内部でも微小なコイルが磁石の上を高速で動きまわり磁界をかけている。コイルに電流を流せば当然「熱」が発生する。これが無駄な電力消耗である。情報量が増えれば現状の技術では電力はますます消耗されパソコンは熱くなる。これを打破するアイデアとして「電界」を使って磁石制御できないか考えられた。「電界」であれば熱発生は無く冷たいPCが可能となる。山田は、我々の身近に存在し素子にも広く使われている「鉄」を1ナノメートル(十億分の1メートル)の大きさまで小さくすることで、電界によって磁石制御できることを発見し電界制御による新たな磁気情報記憶素子の開発実現への道を切り拓いた (Nature Nanotechnology 2010年、「熱くならぬPC実用化へ一歩」朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞)。

「電力」と同様に重要なのが「資源」である。限られた「資源」でより多くの情報を記録するためには1つ1つの磁石の大きさを小さくすればよい。現在、その大きさは数十ナノメートルまで小さくなっている。しかし既存の希少金属等の無機材料のみによる開発技術ではこれ以上の微細化は極めて困難である。一方で様々なロードマップは2030年頃の素子の大きさ2〜3ナノメートルを予見する。これを実現するためには革新的な技術開発が必要不可欠である。候補者は大きさ1ナノメートルの単一有機分子に注目した。課題は分子の電流制御の不安定性であった。山田豊和は、原子レベルの精度で単一有機分子の電流特性の精密測定手法を確立することで、単一有機分子を介する精密電子スピン測定に世界で初めて成功した。これにより、次世代の超小型・省資源素子の実現には、単一有機分子が非常に有益な材料であることを世に示した (Nature Nanotechnology 2011年, Nano Letters 2012年, Nature Communications 2012年、Nanotechnology 2013年「世界最小・磁気センサー開発」毎日新聞、読売新聞、産経新聞)。

これらの革新的な成果を世界に先駆けて発見できたのは、山田豊和が博士課程学生の頃から過去14年にわたり研究開発してきた最先端のスピン偏極STM(走査トンネル顕微鏡)技術開発による。山田豊和は、原子レベルで磁石のNS極観察できる本顕微鏡開発のパイオニアの一人である。

このような革新的研究成果により、近い将来、我々の使用する情報端末には「電界」や「単一有機分子」が当たり前のように使われ、情報社会の発展と環境に配慮した社会が繁栄していくと期待する。

○写真・画像・文章の無断転載を禁止します.著作権は千葉大学山田豊和研究室にあります.

Toyo Kazu Yamada Lab.山田豊和研究室


〒263-8522
千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33
E-mail: toyoyamada[at]faculty.chiba-u.jp ([at]を@にしてください)


山田 豊和 准教授
履歴・受賞・社会貢献
PhD オランダ国ラドボウド大学ナイメーヘン (2005年3月)
博士(理学) 学習院大学 (2004年3月)


所属学会
応用物理学会、
日本物理学会、
日本表面真空学会、
日本磁気学会、
日本化学会

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「探針作製装置」自作・炎エッチング装置

社会貢献
日本学術振興会・人材育成企画委員、
応用物理学会・薄膜表面物理分科会・常任庶務幹事、
日本物理学会・領域9運営委員、
日本磁気学会・講演大会事務局長、
6th Spin-Polarized Scanning Tunneling Microscopy (SP-STM6) conference・Conference Chair、
Program Committee Member of ICSPM and IVC、
他多数歴任。 詳細はこちら。


山田の住居遍歴
兵庫県川西市生まれ(0-2歳)、兵庫県神戸市(2-3歳)、バングラデシュ・ダッカ(3-5歳)、東京都荒川区(5-8歳)、東京都多摩市(8-12歳)、神奈川県平塚市⇔東京目白学習院:往復4時間通学(12-23歳)、オランダ・ナイメーヘン(23-27歳)、東京都豊島区(27-32歳)、ドイツ・カールスルーエ(32-34歳)、千葉県千葉市(34-38歳)、千葉県市原市ちはら台(38歳-41歳)、千葉県船橋市(41歳-) 

山田の趣味遍歴
野球->自転車->ジョギング->テニス・ジョギング

山田ラボ修得可能「技術」「能力」
1.走査トンネル顕微鏡(STM)

2.原子間力顕微鏡(AFM)

3.磁気工学/スピントロニクス

4.分子エレクトロニクス

5.グラフェン技術

6.電子顕微鏡技術

7.電界放出電子顕微鏡

8.表面科学(ナノサイエンス)

9.真空工学

10.低温工学

11.超電導技術

12.結晶工学

13.CAD設計能力

14.画像解析能力

15.プレゼン能力

16.論文執筆能力

17.コミュニケーション能力

18.English能力

担当講義一覧
学部
1. 表面物理科学(T4-5、木曜日4時限目、工17-211)

2. 力学基礎2(T4-5、木曜日2時限目、工17-214)

3. 力学基礎演習2(T4-5、隔週、水曜日5時限目、17-213)

4. 物質科学基礎演習(1年生担任、T4、木曜日3時限目)

5. 工学入門A(1年生担任、T2、月曜日4時限目)

6. 工学入門B(1年生担任、T4、月曜日4時限目)

7. 工学入門C(1年生担任、T4、水曜日1時限目)

8. 卒業研究

9. 物質科学演習I

10. 物質科学演習II

11. 物質科学実験UA(3年次生)(T1-2、水曜日3-5時限目、6回)

12. 物質科学実験VA(3年次生)(T4-5、水曜日3-5時限目、6回)

13. 物質科学基礎実験A(2年次生)(T1-2、金曜日3-5時限目、2回)

14. 物質科学実験IA(2年次生)(T4-5、金曜日3-5時限目、6回)


大学院

15. 磁性物質科学特論(T1-2、大学院、木曜日5時限目、工17-211)

16. 特別演習T(通期、大学院研究ゼミ)

17. 特別研究T(通期、大学院研究)

18. 特別演習U(通期、大学院研究ゼミ)

19. 特別研究U(通期、大学院研究)